絶望のパスタというネットミーム Part3

以前からネット上ではSNSwikiをはじめ様々なサイト上でイタリアではペペロンチーノのことをを絶望のパスタと呼ぶと言われていると記載されている一方で(追記:先ほどwikiを見ると『また日本において「イタリアではこれを『絶望のパスタ』と呼ぶ」という説が流布されているが、そのような共通認識は存在せず、語源と思われる Spaghetti alla disperata は、アンチョビオリーブなどを用いたトマトソースのパスタであることが多い。と記載されていた)、本家イタリア語版や多くの人が見る英語版のwikiでは絶望のパスタと呼ばれているという記述がないということをこのサイトでは度々検証してきた。以前のPart3では「本場イタリアでは絶望のパスタはトマトを使ったパスタが主流で、日本でペペロンチーノが絶望のパスタと言われるようになったのは吉川敏明氏が言ったかららしい」という結論を下したが、その後料理王国というサイトの吉川敏明氏の記事で面白い記述を見つけたので紹介したいと思う。記事は下記のリンクから見ることができる。余談だがこの記事は70年代のイタリア料理を取り巻く環境に言及されていたり、アラビアータやペペロンチーノのレシピが載っていて面白い。

cuisine-kingdom.com

この記事の中で吉川氏本人がイタリアで修行して帰国した後に、ペペロンチーノを絶望のパスタと名付けたと言っている。このキャッチーなネーミングをメディアが大きく取り上げたから、いつの間にか現地イタリアではペペロンチーノを絶望のパスタというなどという話が独り歩きしたのだろう。どこで「絶望的な状況でも作れるから」などといった尾ひれがついたのかわからないが、上記の料理王国の記事の中でバジリコがないのかと聞かれて絶望と名付けたと言っているのでそのあたりの吉川氏の発言が関係しているのかもしれない。いずれにせよこの辺りは当時の雑誌やテレビ番組などの影響が大きいのでそういった資料にアクセスできなければ、おそらく追うのはほぼ不可能だろうと思う。

さて、吉川氏ご本人による絶望のパスタというネーミングについての由来などの説明が料理王国の記事で解説されているので、このブログ記事では改めて「本場イタリアでは絶望のパスタはトマトを使ったパスタが主流で、日本でペペロンチーノが絶望のパスタと言われるようになったのは吉川敏明氏が言ったから」という結論を下したいと思う。